ひとことでいえば

思考内容の障害である。本人にとって比類なき主観的確信であり、通常の説明や反証によっては絶対に訂正されない考え。

どのような文脈で問題になるか

妄想は、精神病理学においてもっとも重要な症候のひとつである。内容としては、被害、関係、誇大、嫉妬、罪業、心気など、さまざまな形をとる。 しかし重要なのは、単に「奇妙な内容の考え」であることではない。むしろ、その考えがどのような仕方で現実性を帯び、本人にとって疑いえないものとして成立するのかが問題になる。

近接概念との違い

どこが難しいか

難しいのは、妄想を内容だけで判断できないことがある点である。ある考えが奇妙に見えるかどうかよりも、それがどのような体験構造のなかで確信されているのかを見なければならないだろう。 誰もが納得できるような妄想の定義は存在しない。

本記事との関連

妄想は、パラノイア問題を考えるうえでも中心になる概念である。とくに、妄想が人格や生活史から発展するものなのか、それとも了解を超える病的過程に由来するものなのかという問いと深く関わる。

参考文献

  • K. ヤスパース『精神病理学総論』
  • E. クレペリン『精神医学』
  • K. Schneider『臨床精神病理学』
  • E. クレッチマー『敏感関係妄想』