ひとことでいえば

その人に比較的持続して認められ、自己の経験や他者との関係に一定のまとまりを与える、認知・感情・欲求・行動の特徴的な様式。

パーソナリティは固定した本質ではなく、発達や経験、環境との関係のなかで形成される。一定の持続性をもちながら、時間や状況によって変化しうるものでもある。

どのような文脈で問題になるか

日常語では、パーソナリティは「人柄」「個性」「性格」とほぼ同じ意味で用いられる。

心理学や精神医学では、その人が物事をどのように経験し、感情を調整し、自分を理解し、他者と関係を結ぶかという、比較的持続的な様式を指している。

現代のパーソナリティ症診断では、パーソナリティを単なる性格特性の集まりとして見るだけでなく、自己と他者との関係を成り立たせる働きとして捉える。そのため、「どのような特性をもつか」と「自己および対人関係がどの程度機能しているか」は、区別して考えられる。

すべての人は何らかのパーソナリティをもつ。したがって、特徴的な性格傾向があることや、平均から外れていることは、それだけでは精神障害を意味しない。

近接概念との違い

人格

日本語では personality の訳語として用いられ、精神医学では両者がほぼ同義に扱われることがある。一方、「人格」には、人柄や品性、道徳的主体、法的主体といった意味もある。

性格

日常語ではパーソナリティとほぼ同義である。学説によっては、パーソナリティのうち比較的獲得的な側面を性格と呼ぶこともあるが、用語法は一定していない。

気質

感情反応の強さや活動性など、比較的早期から認められ、生物学的基盤との関連が想定される傾向を指すことが多い。パーソナリティは通常、それより広い概念として扱われる。

パーソナリティ特性

その人にどのような傾向が目立つかを記述する概念。

パーソナリティ機能

その人が安定した自己感覚を保ち、目標を定め、他者を理解し、相互的な関係を形成できるかという、自己および対人関係の働き。

パーソナリティ症

パーソナリティそのものの別名でも、「性格が悪い」という人物評でもない。自己機能や対人関係機能の持続的な障害と、それによる生活上の支障が問題になる。

どこが難しいか

パーソナリティは、その人自身と切り離しにくい概念である。

症状であれば「その人に生じたもの」と考えやすい。これに対してパーソナリティは、その人が世界を経験し、自己を保ち、他者と関係する仕方そのものに関わる。そのため、その特徴を病理として記述することは、本人の存在全体を評価することと混同されやすい。

また、パーソナリティには一定の持続性がなければならない一方、まったく変化しないものでもない。何がその人の持続的傾向で、何が一時的な状態なのか。何が本人の特性で、何が置かれた環境への反応なのか。さらに、どの程度の対人摩擦を機能障害と呼ぶのか。ここには、診断と人物評、医学的判断と社会的価値判断の境界という問題が残る。

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参考文献

  • K. Schneider『新版 臨床精神病理学 原著第15版』
  • World Health Organization, Clinical descriptions and diagnostic requirements for ICD-11 mental, behavioural and neurodevelopmental disorders, 2024.
  • American Psychiatric Association, Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision.